教育遺産の中での遊びと学び

茨城大学教育学部附属幼稚園は,水戸駅を見下ろす城跡にあります。国の特別史跡・重要文化財の弘道館から,大手橋を渡り大手門跡を入ってすぐの場所です。弘道館は,江戸時代末期17万8千平米を超える面積をもつ日本最大の藩校でした。現在は,3万平米に縮小されましたが,城跡に本園を始め,小学校2校,中学校1校,高校2校を擁する様は,実は往時と変わらないのかもしれません。一昨年の白壁工事に加えて、今年度は門の工事が始まります。「学びの文化を世界遺産に」という願いが,形として整いつつあることを感じます。

私たちは,その形に魂を吹き込む役割を期待されているのだと思います。国や地域の繁栄をささえるものは,教育による人材育成であると考えた先人たちによって,この地に多くの学校が作られてきたのでしょう。近代教育はことに,子どもの力を伸ばすことを主眼に行われてきましたが,「三つ子の魂百まで」ということわざのように,その出発点としての幼稚園の役割は,大変重要です。

遊びと学びが未分化である幼少期にこそ,私たちを取り巻く世界への肯定的な視点を身につけ,その後もずっと楽しみながら学び続けることができるのではないか。私たちはそのように考え,子どもたちの成長の本質を追求して行きたいと考えています。保育のテクニックと呼ばれるものは,そのような子ども中心の姿勢によらなければ,大人の都合を押しつけることになってしまうのではないでしょうか。

本園は,教育学部の附属として学生たちの実習や,地域の先生方へ研究を還元する役割も担っております。本年度の研究テーマは,「子どもと共に遊びをつくる -自然との触れ合いを通して-」です。自然の本質は,変化し続けるということにあると思います。木々も動物も休むことなく成長し,地球も動き続けています…もちろん子どもたちも。私たちの保育は,それらに寄り添い,その本質を見失わないようにしながら、変化の様をたどらなければなりません。私たち自身も柔軟に変化し続けたいと思います。それによって私たちの小さな幼稚園は,先生方や学生や,何より子どもたちにとって,遊びと学びの場であり続けることができるはずです。

みなさま方のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

園長  小泉 晋弥